2017年度 物質生命理工学科コロキウム
銀触媒による二酸化炭素との炭素結合形成反応
山田 徹 先生(慶應義塾大学 教授)
日時/場所 | 2017年6月22日(木) 15:15-16:45 6-201 |
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詳細
講師に山田 徹 先生(慶應義塾大学 教授)をお招きして、以下の内容でご講演いただきます。皆様お誘い合わせのうえご参加ください。*申込不要・参加無料・学生、学外の方の聴講歓迎
銀触媒による二酸化炭素との炭素結合形成反応
山田 徹 先生(慶應義塾大学 教授)
二酸化炭素分子は大気中に豊富に存在し,それ自身は低毒性で取扱いが容易であるこ とから,魅力的な炭素源として期待されている。演者らの研究グループでは,銀触媒に よる炭素-炭素三重結合の活性化を基軸とする二酸化炭素固定化反応を開発した。こ の反応系はエナンチオ選択的反応にも適用可能で,銀触媒とともに光学活性な Schiff 塩基を配位子とするとビスプロパルギルアルコールの非対称化の結果,対応する環状カ ーボネートが高いエナンチオ選択性で得られる。また分子内の適切な位置に炭素-炭 素三重結合を有するカルボニル化合物からは,触媒量の安息香酸銀と MTBD (7-methyl-triazabicyclo[4.4.0]dec-5-ene)の存在下,二酸化炭素分子と新たな炭素結合を形成しながら5員環ラクトンが得られる。
この反応系をo-アルキニルアセトフェノンに適用すると対応するエノラートが二酸化 炭素を捕捉したのち,互変異性体から環化が進行したと考えられる,ジヒドロイソベン ゾフラン誘導体が選択的に得られた。また,o-アルキニルアニリンに対しこの反応を 適用すると,ベンゾオキサジン-2-オン類1が得られる。第1級アニリンに対し塩基と してDBUを作用させた場合,イソシアネートを経由する転位反応の結果として,4-ヒド ロキシキノリン-2(1H)-オン誘導体2が得られることを明らかにした。この反応はプロパルギルアミンにも適用可能で,その結果としてテトラミン酸誘導体が得られる。
本講演では,二酸化炭素分子を反応剤とする複素環化合物の合成に関して,最近の研究成果も合わせて紹介したい。
本件に関するお問い合わせは、コロキウム委員(内田、鈴木(伸))までお願いいたします。
ポスター